新型コロナワクチン「職域接種」がおすすめできない4つのポイント

あれこれ雑記

こんにちは。かめたろうです。
仕事の関係で新型コロナワクチンの職域接種について勉強をしました。
その中で感じたことを書かせていただきます。

「職域接種」って何?

新型コロナウイルスワクチンの接種率向上を目的として6月中旬より開始された「職域接種」
企業や団体、大学を拠点としてワクチンの接種が開始されました。
他のコロナ対策と同様に、見切り発車的なところがあり、発表から実施までの間にいろいろと変更点があったのですが、大筋以下の条件を満たせば実施ができます。

❶接種する人数を1,000名以上集めること

❷医者を手配できること

❸同じ会場で1人2回の接種を行える体制であること

こんな感じです。大企業でなくても1,000名集まれば大丈夫なので、極端な話、町内会や趣味の俳句の会などでも1,000名集まれば申請はできます。
条件的なハードルが低かったせいか、手を上げる大学や企業が多すぎてワクチンの配送6月25日で新規の申請をいったん締め切っていますが、再開されれば実施したいと考えている方も多いと思います。
ただ、準備を進めていくと様々な問題点や苦労が出てきており、「本当にやる意味あるのかな?」と考えてしまいました。

金銭的な負担が大きすぎる!もっと補助してほしい

一つ目は費用面。職域接種の費用についてはたとえば企業の場合は企業が全額負担します。
もちろん接種するワクチンの代金は注射針や手袋、医療用ガウン、超低温の保存用冷蔵庫など接種に最低限必要な機材は国から無償で提供をされます。
しかし、会場の確保や接種に必要な受付、誘導などの事務員経費。そして肝心の医師や看護師の手配費用は企業側がすべて手配をしなくてはなりません。
接種費用として接種をする医療機関には1回の接種あたり2,070円が支給されます。
単純に計算すると1人が必ず2回の接種を行うので、2,070円×2回×1,000名で4,140,000円入ってくる計算なので、まかなえそうな気がするのですが、実際それで収まるケースはまれだと思います。
仮に会議室などのスペースがあったとしても、様々な物品を外部から借りてくることになります。
ワクチン保管用の超低温冷蔵庫は貸してくれますが、常温に解凍するまでの普通の温度の冷蔵庫(2~8℃でワクチンは30日間保存できます)、ワクチン接種後の体調観察スペースでの万一のためのベッドや車いす、ストレッチャーなども万一を考えて準備が必要。
また、医師看護師以外でも当日の受付や誘導、経過観察後の事務連絡などのための要員が多数必要で、ほかの業務を止めてこの仕事に当たるか、無理ならば外部から人を雇うことになり、その場合の人件費や交通費、食事代なども必要。
それに1,000名の予約体制の構築や実際の事務連絡体制の構築などやることは盛りだくさん。
よほど社内に場所も人員も設備も整っている企業でなければ、1,000人に2回の接種を行う段取りをたった400万円で行うなど不可能で、大体1名あたりにすると7,000~9,000円くらいの費用計算になります。つまり3,000~5,000円程度は企業側の持ち出しになるのです。
ただし企業に接種費用が直接入ってくるのは、企業が医師を一時的に雇用して社内に診療所を作った(臨時の診療所として認めてもらえます)場合に限りです。
どこかの病院のスタッフが出張してきて接種を行った場合には、その病院に接種費用が全額入り、企業には一円も入りませんので、会場設営などなどは結局企業側の持ち出しになります。

お医者さんが儲かり過ぎ?!医師派遣が超やっかい

2つ目は医師の確保。大変なのが接種日当日に接種希望者がワクチンを打っていいかどうかの判断を行う医師の確保です。よく「打ち手がいない」という報道がありますが、これはちょっと間違っていると思います。
実際に注射を行うのは看護師(歯科医師や検査技師も可)が行うので、この人材については結構簡単に確保ができます。
問題なのは予診(問診)を行う医師。医師のサインが予診票にないとワクチン接種はできません。
この医師は1,000名程度の規模での接種なら1名いれば十分なのですが、この医師を雇うのが高額です。医師の紹介業をしている会社での相場は時給で20,000円(税別)。1日7時間の勤務で雇うと単純計算で1日140,000円となります。
ただこれは安いケースで職域接種が加速している現在では時給30,000円出さないと特別なコネがない企業には来てくれないような現状。
これに医師の紹介業者に対して35%の紹介料がかかるので、もし30,000円の時給で1日契約すると311,850円もかかります。1日200名接種できたとして5日間の医師費用だけで150万円を超えてくる。
看護師の時給が交通費込みで3,000~4,000円なので、どれだけ高いかわかると思います。
どこかの病院に依頼してきてもらう場合でも、普段の診療時間外の夕方や土日にしかやってもらえないケースが多いので、担当の方は土日出勤が増えますし、当然1日に接種ができる人数が少ないので、接種の期間が長くなります。
知り合いの大病院に職域接種についてやってもらえないか相談をしましたが、暗黙のルールで医師会に加盟する開業医の仕事であり、大病院や大学病院などが接種関係の仕事に入っていくことは「縄張り荒らし」になってしまうのでできないそうです。研修医が高い時給につられてそちらに行ってしまい、勉強会などを疎かにしてしまうケースもあるようで、様々な問題が出てきているようです。

ほんとうに職域接種の方か早いのか??

3つ目は接種完了までの時間。職域接種の魅力で最大のものは自治体が発行する「接種券」を持っていなくてもワクチンの接種ができること。現在はほとんどの自治体で60代までの接種券が発送されており、40代30代は8月頃が多いようです。
つまり働き盛りの世代が自治体の接種や掛かりつけ医、あるいは大規模接種会場で接種を行えるのは接種券が届いてからなので、8月ないし9月が1回目の接種となります。
前述の通り、現在多数の職域接種希望が出ており、ワクチンの配送スケジュールが遅れています。
最後の方で申請をした職域接種は受理されたとしても8月初旬からの接種開始となる予定。
その頃には自治体から接種券が届いているかもしれません。
これだけお金と労力を使って早く接種をしても、自治体の接種と1カ月差が出ないかもしれないとなると本当に必要なのか考えなくてはなりません。

ワクチンの種類が違う。職域は「モデルナ」自治体は「ファイザー」

4つめはワクチンの種類。またワクチンの種類が違うことも今後問題になるかもしれません。
職域接種はモデルナワクチンで1回目から2回目の接種で空ける間隔は28日間。自治体接種はファイザーワクチンで間隔は20日間。ファイザーの方が接種の感覚が短いので接種官僚が早いのです。
現在は1回目と2回目に接種するワクチンは同一のものというルールがあります。
また職域接種の基本原則で「接種は2回とも同一会場」というルールがあります。
このため職域接種ではもし1回目の接種で予診の結果、医師が打てないと判断すると同時に2回目も打てなくなります。もし2回目だけ打てたとしても、「同一会場」がなく、また「モデルナ」で打つ場所がないからです。
今後はもしかしたら救済措置として他の職域接種会場や大規模接種会場で打ってもいいという判断が出るかもしれませんが、仮に1回目のモデルナワクシン接種から都合よく28日後(ぐらい)に接種先が見つかるかわかりません。また、1回目をモデルナで接種し、2回目の接種が適当な時期に打てなかったとして、その後打とうとしたときにファイザーワクチンを2回打つのかどうするのか・・・見解はまだ示されていません。

「どうしてもやる!」という強い意志がないならやめた方がいい

職域接種は確かにメリットがあります。企業ならば取引先企業がワクチン接種が終わっているなら当然接種した企業同士の方が優遇されますので、例えばトヨタ自動車などが接種に動いていれば、子会社や出入り業者はビジネスに影響するのでやらざるを得ないと思います。
また、今後海外渡航が解禁されてくるなかで「ワクチンパスポート」を取得する際に接種が前提になるはずです。海外とのやり取りが多い商社などはいち早く接種が必要になります。
このような事情があれば別ですが、なんとなく早めにやっておきたい程度ですと、費用や労力、あるいは後日発生すると思われる接種希望者の取りこぼし問題などで「やっぱりやめときゃよかった」と思うかもしれません。
国から支給される2,070円の費用も、自治体から発行される接種券を企業がすべて回収してからでないと請求ができないので、お金が入ってくるのは早くても年末とかになるような気がします。
完全に個人的な見解ですが、7月中に1回目の接種が終了できないのであれば、手間暇を考えると自治体の接種券が届いたら確実に受けさせるように社員に通達をしておき会社に提出させ、近くの開業医に依頼して、週に1回でも会社に接種に来てもらうような仕組みにして打っていく方が早いように思ういます。ワクチン接種については商売として積極的な開業医さんにとっては魅力的なようです。
普通のクリニックなどでも1日50回とか100回分のワクチンは入手できるそうですので、ファイザーの接種間隔で地道に摂取していけば結果的には早いかもしれません。


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